内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省は3月26日、事業者とフリーランスとの取引について、独占禁止法、下請法、労働法の適用関係を明らかにし、これら法令に基づく問題行為を明確にするためのガイドラインをまとめた。
<参考>経済産業省プレスリリース
ガイドラインでは、フリーランスを「実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」と定義。
そして、法令の適用関係については、以下のとおり整理した。
・事業者とフリーランス全般との取引→独占禁止法が適用
・資本金1000万円超の法人の事業者とフリーランス全般との取引→下請法も適用
・実態が「労働者」といえる場合→労働法も適用
そのうえで、発注事業者が優越的地位の濫用となる行為をしないためにも、発注時の取引条件を書面で交付するよう要求。優越的地位の濫用として問題になる行為として、以下の12類型をあげた。
・報酬の支払遅延
・報酬の減額
・著しく低い報酬の一方的な決定
・やり直しの要請
・一方的な発注取消し
・役務の成果物に係る権利の一方的な取扱い
・役務の成果物の受領拒否
・役務の成果物の返品
・不要な商品又は役務の購入・利用強制
・不当な経済上の利益の提供要請
・合理的に必要な範囲を超えた秘密保持義務等の一方的な設定
・その他取引条件の一方的な設定・変更・実施
また、発注事業者とフリーランスを仲介する仲介事業者に対しても、仲介サービスの規約を変更することによる取引条件の一方的な変更が優越的地位の濫用として問題になり得ると指摘した。
ガイドラインはそのほか、従前の労働基準法上の「労働者」概念、労働組合法上の「労働者」概念を再整理。末尾には契約書のひな型例や留意点も掲載した。
ガイドラインを取りまとめることで、立場の弱いフリーランス保護を進めようとしている姿勢は評価できる。あとは、このガイドラインが紙切れに終わらないように、実効性を持ったものにしていく必要がある。